会長あいさつ
交友クラブは会員相互の親睦をはかるとともに、会員とJICAとの連繋を深めることを目的に平成2年(1990年)に設立され、今年30周年を迎えました。この間の開発援助やJICAを取り巻く環境の変化には大きいものがありますが、多くの方々の努力によって日本の国際協力の理念を形にすることができたと自負しています。
この度、第16期交友クラブの会長になりました黒柳俊之です。これから2年間、宜しくお願い致します。私は、1978年にJICAに入団しました。最初の配属先は海外移住事業部でした。それから、農業、社会開発の開発調査や無償資金協力の仕事を、また、フィリピンにはプロジェクトと事務所に2度赴任させてもらいました。40才代からは事業部から遠ざかり広報や人事の仕事をするようになりました。どの部署でも大変なことが沢山ありましたが、面白い仕事もたくさんさせてもらいました。また、JICA内外に多くの友人を得ることができました。

2015年9月末にJICAを辞した後、会社を立ち上げ、神奈川県南足柄市に農業参入しました。1000平方メートルの畑から始め、現在は田んぼ、畑、果樹園など約4ha(ほぼ後楽園球場)まで拡大しました。また、4頭のヤギもいます。田んぼでは酒米も作っていて、隣町にある酒造に卸しています。農場にはJICA職員や開発コンサルタントの方々が援農に来てくれます。また、協力隊を目指す学生も実習にやってきます。すでに2名を協力隊に送り込みました。さらに、自閉症の子供たちが、毎月泊まり込みで農業体験に来ます。常連の子供に何で来るのと尋ねたところ「ストレス解消、気分転換」との回答、農業の癒し効果だと思います。農福連携を経営の柱の一つにできないか考えています。
ところで、私はJICA現役時代から気になっていることがあります。それは、JICAの職員の平均年齢が、日本人の平均より短いのではないかということです。そこで、交友クラブ名簿の物故者名簿から平均寿命を計算してみたところ、平均寿命は76.7歳でした。日本人男性の平均寿命が81.3才なのでJICA職員はやはり短いものでした。色んな理由があると思いますが、JICAの仕事は大変なのでしょう。
冒頭述べたとおり、JICA交友クラブの目的は会員相互の親睦とJICAとの連携です。交友クラブのメンバーにはJICAでの苦労を重ねてきた経験があり、現役の苦労を最も理解している者だと思います。交友クラブがJICAやその職員を色んな形で支援するのも連携だと思います。
JICAを辞したあと、JICA職員の優秀さを再認識しています。退職した後もまだまだ世の中に貢献できる方々が沢山おられます。交友クラブが、こういった方々に新たな働きの場を紹介するのも親睦に含まれるのではないでしょうか。
日の出ともに起き、日没まで野良仕事の毎日ですが、2年間の任期を全うしたいと考えています。
JICA交友クラブ会長 黒柳俊之